ブルース・リーの身体を見ると、
もっと大柄な人物だったように感じます。
しかし実際には、
かなりコンパクトな体格でした。
ネットで調べると、
身長167cm。
170cm。
171cm。
172cm。
175cm。
体重も、 57kg、60kg、64kgなど、 かなり数字が違います。
さらに有名なのが、 「体脂肪率2%」 という話です。
では、
何が実際の記録なのでしょうか。
今回は、
伝説から身体を想像するのではなく、
ブルース・リーのトレーニング資料に残された 具体的な身体データから確認します。
そして最後に、 数字以上に重要な、
なぜ約60kgの身体が、 あれほど強烈に見えたのか
まで考えます。
先に結論|身長約171cm、通常期約61kgという資料がある
ブルース・リー本人のノートや、 トレーニング記録などをもとに編集された 『The Art of Expressing the Human Body』。
その巻末には、 Bruce Lee's Vital Statistics という身体データがあります。
身長
5フィート7½インチ
= 約171cm
体重
135ポンド
= 約61kg
『燃えよドラゴン』撮影期
125ポンド
= 約57kg
少なくとも、 ブルース・リーの身体を語る際には、 かなり重要な基準となる数字です。
同資料にはさらに、 1965年の身体測定について 140ポンド、 約63.5kgを基準にした記録も残っています。
つまり、
ブルース・リーの体重は 生涯ずっと一つの数字ではなかった。
時期によって、 かなり変化していたと考える方が自然です。
なぜ身長が167〜175cmまでバラバラなのか
現在でも、 ブルース・リーの身長には さまざまな数字があります。
日本語の記事でも、 167〜175cm ほどの幅で紹介されることがあります。
海外の一般的な人物資料では、 5フィート7インチ前後とするものも多くあります。
一方、 『The Art of Expressing the Human Body』では 5フィート7½インチです。
約171cm。
さらに、 1959年のEdison Technical Schoolの 登録記録として紹介されている資料にも、
5フィート7½インチ・138ポンド
という数字が残っています。
「絶対に171.45cmだった」 と小数点以下まで断定するより、
成人期のブルース・リーは 170cm前後だったと考えるのが妥当。
これくらいの扱いが、 資料に対して誠実でしょう。
1959年の記録では約171cm・約63kg
さらに面白いのが、 まだ世界的スターになるはるか前の記録です。
1959年9月9日。
Edison Technical Schoolの 登録資料として残る数字は、
身長
5フィート7½インチ
体重
138ポンド
およそ、 171cm・63kgです。
まだ18歳。
この頃からすでに、 後年の身体データに近い体格だったことが分かります。
1965年には約63.5kgという身体測定も残る
以前紹介した 1965年5月27日の トレーニングカード。
この時期、 ブルース・リーは ウェイトトレーニングを本格的に行い、 身体そのものを大きくしようとしていました。
『The Art of Expressing the Human Body』の 身体測定表には、
1965年の体重140ポンドを基準にした 身体各部の変化
が掲載されています。
140ポンドは、 約63.5kg。
胸囲。
上腕。
前腕。
太もも。
ふくらはぎ。
それぞれの変化まで記録されています。
ブルース・リーは、 鏡を見て「筋肉が付いた気がする」で 終わらせていなかった。
身体を実際に測っていた。
この記録癖は、 彼のトレーニング哲学を理解するうえでも 重要です。
ところが『燃えよドラゴン』では約57kgまで落ちている
ここが、 かなり驚くところです。
1971年に香港へ移った頃、 ブルース・リーは 135〜140ポンド程度だったとされています。
ところが、 映画撮影が続くにつれて 体重が減少しました。
『The Art of Expressing the Human Body』には、
“By the time he finished shooting Enter the Dragon he weighed 125.”
「『燃えよドラゴン』の撮影を終える頃には、 体重は125ポンドになっていた。」
『The Art of Expressing the Human Body』 /日本語訳は当サイト
という記述があります。
125ポンド。
約57kgです。
画面で見るあの身体が、 実際には60kgを大きく下回っていた時期がある。
これは、 ブルース・リーの肉体を理解するときに かなり重要な事実です。
なぜ体重が減ったのか
同資料では、 香港へ移ったあと、 ブルース・リーの活動量が 大幅に増えたと説明されています。
映画出演だけではありません。
殺陣を考える。
何度もテイクを撮る。
自分自身もトレーニングする。
映画を制作する。
非常に蒸し暑い香港で、 大量の身体活動を続ける。
その中で、 約2年間に 10〜15ポンドほど体重が減少したとされています。
だから、 「ブルース・リーの理想体重は57kgだった」 と考えるのも違います。
最終期の軽い体重だけを切り取り、 それを誰もが目指すべき身体と考える必要はありません。
では「体脂肪率2%」は本当なのか
ここが今回、 最も確認したかった部分です。
ネットでは、
体脂肪率1%。
2%。
2.4%。
3%。
さまざまな数字が出ています。
しかし今回、 ブルース・リー公式、 Foundation関連資料、 本人のトレーニング資料を確認した範囲では、
「ブルース・リーの体脂肪率を測定した結果、 2%だった」
という信頼できる一次記録は 確認できませんでした。
トレーニング資料にも「体脂肪率○%」とは書いていない
『The Art of Expressing the Human Body』には、 『燃えよドラゴン』撮影期について、
「considerable body fat」を失った
という説明があります。
つまり、 かなり体脂肪が落ちていたこと自体は 資料でも述べられています。
さらに、
体重125ポンド。
ウエスト26インチ。
胸囲の変化。
こうした具体的な数字もあります。
しかし、
「体脂肪率2.4%」 という数値は記載されていません。
少なくとも、 この重要な身体資料を根拠に 2.4%を断定することはできません。
写真を見て体脂肪率を断定することも難しい
確かに、 最晩年のブルース・リーは 驚くほど絞れています。
腹筋だけではありません。
前鋸筋。
広背筋。
肩。
前腕。
非常に細かな筋肉まで 見えています。
だから、 極めて低い体脂肪だったことは 視覚的にも理解できます。
しかし、
「非常に絞れている」 と 「医学的に2.4%と測定された」 は別です。
写真から、 小数点以下まで体脂肪率を決めることはできません。
本当に凄いのは「171cm・61kg」が大きく見えること
ここからが、 私は一番面白いと思います。
約171cm。
通常期約61〜64kg。
現在の日本人男性の感覚なら、 特別巨大な体格ではありません。
むしろ、 かなり軽い。
しかし映画では、 ブルース・リーが 小さく見えることはほとんどありません。
なぜでしょうか。
一つは、 身体の比率です。
広い背中。
細い腰。
発達した肩。
太い前腕。
脂肪の少ない輪郭。
そして、 筋肉を実際に動かしたときの 強烈な収縮。
身体の「大きさ」ではなく、 身体の「密度」と「見え方」が違った。
ウエスト26インチという異常なコントラスト
身体データには、 ウエストについても 興味深い数字があります。
26インチ。
約66cmです。
この細い腰に対して、 発達した広背筋と肩があります。
だから、 身体全体が強烈な V字型に見えます。
ボディビル的に 巨大な筋肉を付けなくても、
肩・背中と腰のコントラスト
によって、 身体は非常に力強く見えます。
前腕も、体重の割にかなり目立つ
前の記事で見たように、 ブルース・リーは 前腕と握力をかなり重視していました。
1965年の身体測定記録でも、 トレーニングによる 前腕の変化が記録されています。
これは映画で見ても分かります。
身体そのものは細い。
しかし、 拳へ近づくほど 前腕の筋肉が強く目立つ。
すべてを均等に巨大化した身体ではない。
必要な場所が強調された身体。
ここにも、 ブルース・リーの 機能重視の身体観が見えます。
「小柄だから強くなれない」を身体そのもので否定した
ブルース・リーが 世界へ与えた衝撃の一つは、 ここだったのではないでしょうか。
身長190cmでもない。
体重100kgでもない。
巨大なボディビルダーでもない。
約170cm。
約60kg。
それでも、 画面の中では圧倒的です。
近年の日本でブルース・リー人気を論じた記事でも、 西洋の大型スターとは違う東洋人の身体で 圧倒的な存在感を示したことが、 日本人に大きな衝撃を与えたと指摘されています。
「身体が大きくない」 ことと、
「身体能力を最大化できない」 ことは同じではない。
ブルース・リーは「体重を増やすゲーム」をしていなかった
もちろん、 一時期はウェイトトレーニングによって 筋肉量も増やしています。
しかし後年、 目的は単純な大型化から 離れていきます。
Bruce Lee公式資料でも、 ブルースが目指した身体は、
強い。
速い。
敏捷。
そして、 武術で実際に使える。
そうした身体だったと説明されています。
「何kgあるか」ではなく、 「その体重で何ができるか」。
この発想に変わります。
だからブルース・リーの体重をそのまま目標にしない
この記事を読んで、
「じゃあ57kgまで痩せればいい」
と考える必要はありません。
ブルース・リーと私たちでは、
身長。
骨格。
筋肉量。
年齢。
運動量。
目的。
すべて違います。
ブルース・リーの数字をコピーするのではなく、 数字を使って自分を研究した姿勢をコピーする。
こちらの方が、 本人の考え方にも近いでしょう。
「体脂肪率2%」を目標にする必要もない
ブルース・リーのような 身体になりたい。
その気持ちは分かります。
しかし、 信頼できる測定記録を確認できない 「体脂肪率2%」を 目標値にする必要はありません。
極端な数字を追うことと、 健康的で機能的な身体を作ることは 同じではありません。
ブルース・リー本人も、 トレーニングだけでなく、 食事、睡眠、持久力、 柔軟性まで研究していました。
一つの数字へ身体を合わせるのではなく、 身体全体の働きを見る。
私たちが真似できる「数字の使い方」
ブルース・リーの身体データから、 一番真似しやすい部分があります。
測ること。
彼には、
体重。
胸囲。
腕。
前腕。
太もも。
ふくらはぎ。
トレーニング重量。
回数。
走行距離。
大量の記録があります。
目的は、 他人と自慢し合うためではありません。
自分が変わっているかを見るためです。
実践|「1つの数字」を6週間だけ追う
この記事から、 一つだけ持ち帰るなら、 これをおすすめします。
① 改善したいものを一つ決める
体力でも、
仕事でも、
勉強でも構いません。
② 数字を一つ決める
体重ではなくてもいい。
走った距離。
腕立て回数。
勉強時間。
読書ページ。
ブログPV。
③ 毎週同じ条件で記録する
感覚ではなく、
変化を見るためです。
④ 6週間後に判断する
伸びたなら続ける。
伸びなければ、
方法を変える。
ブルース・リーが何度も行った、
試す → 記録する → 修正する
という流れです。
「自分は小さいから」という言い訳を一つ捨てる
約171cm。
約61kg。
数字だけを見れば、 ブルース・リーは 巨大な人間ではありません。
それでも、 世界中の人が 彼の身体を覚えています。
これは、 かなり勇気の出る事実です。
“Using no way as way; having no limitation as limitation.”
「方法を方法とせず、
限界を限界としない。」
Bruce Lee公式 /日本語訳は当サイト
身長。
体格。
年齢。
環境。
もちろん、 変えられない条件はあります。
しかし、 条件そのものと、 その条件でどこまで行けるか は別です。
まとめ|数字は小さい。でも存在感は巨大だった
身長
資料では約171cm。
通常期の体重
135ポンド前後、約61kg。
1965年の身体測定基準
140ポンド、約63.5kg。
『燃えよドラゴン』撮影終了頃
125ポンド、約57kg。
体脂肪率2%説
今回確認した主要資料からは
実測値を確認できなかった。
ブルース・リーを 数字だけで見ると、 意外なほど普通です。
むしろ、 小柄です。
しかし、 その限られた身体を 徹底的に研究しました。
筋力。
持久力。
柔軟性。
スピード。
前腕。
腹部。
食事。
休養。
そして、 記録。
与えられた身体を嘆くのではなく、 その身体をどこまで使えるか研究する。
171cmだったか。
172cmだったか。
本当の意味では、
そこが重要なのではないのかもしれません。
約60kgの身体から、
世界が50年以上忘れないほどの
存在感を作った。
その事実こそが、 ブルース・リーの身体から 私たちが学べる最大の数字です。
もっと深く身体研究を読むなら
今回の身長・体重・身体各部の測定値は、 『The Art of Expressing the Human Body』にも まとめられています。
単なる筋トレ本ではなく、 ブルース・リーが 自分の身体をどう研究したのか を見る資料として面白い一冊です。
※本記事はAmazonアソシエイト・プログラムを利用しています。
Amazonで『The Art of Expressing the Human Body』を確認する
主な参考資料
Bruce Lee / John Little編
『The Art of Expressing the Human Body』
Tuttle Publishing, 1998
1959 Edison Technical School
Bruce Lee Registration Record
Bruce Lee公式
「Nutrition and Fitness」
Bruce Lee Foundation
「About Bruce Lee」
※身長については、
公称値・証言・各種資料に差があります。
本記事では、
本人資料に近い身体データおよび学校記録を重視し、
「約170〜171cm」として扱っています。
※「体脂肪率2%」「2.4%」などについては、
今回確認した主要な本人資料・公式資料から
測定記録を確認できなかったため、
事実として断定していません。

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